太田市

中島飛行機以来のものづくりの伝統を誇る太田市。だが、市の魅力はこればかりではない。太田市美術館・図書館や市民会館などが完成し、文化やアートの情報発信拠点として期待される。市役所で開いているロビーコンサートは500回を超えた。子育て支援に向け面接会や放課後の児童を預かる「こどもプラッツ」などが充実。4月9日からスクールバスの空き時間を活用した無料路線バスが運行を開始する。モノばかりでなく、コトづくりにも市民の力が結集する。

ものづくりだけじゃない! アートに人集うまち

市長メッセージ

『太田市美術館・図書館』は人気だ。予想を大きく超える入場者がある。駅前という立地が良かったのと、設計に入る前に市民がワークショップに参加して設計者の平田晃久さんたちとワイワイガヤガヤ、これが良かった。みんなの意見と平田さんの主張が組み合わされた。

なかでも、ものづくりに携わる若手の経営者集団「エーアイラボオオタ」が照明や家具、什器[じゅうき]を造った。ワークショップから新たなものづくり集団ができたのはすごいこと、だと思う。建築雑誌だけではなく、多くの雑誌に取り上げられて太田市がいくらか、いや、かなりかな? 有名になった。

さて、大変なのはこれから。アートがまちの中に染み出していく拠点に(スパイラルのチーフプランナー・守屋慎一郎さんの言葉)しなければいけない。軽快なステップで2年目を踏み出すことにする。

太田市美術館・図書館
「ものづくりはすごいけど、教育とか文化芸術はねぇ・・」
市役所で開かれている ロビーコンサート

こんなことを言われていた。後ろの部分が悔しい。市役所の1階は歩道と広場。広場でコンサートが開ければ、と庁舎設計した。ピアノは商工会議所から寄贈され、演奏は希望者なら誰でも。「ロビーコンサート」は500回を超えた。いつもお客さまはいっぱいだ。運営は太田市大好き人間の「石井さん」を中心にボランティアでやってもらっている。

おおた芸術学校は小中高生、750人の芸術集団だ。ジュネス・松ぼっくり・コールエンジェル3部門の発表会があったがレベルは年々高くなっている。昨年は静岡県浜松市で交流演奏をしたが、評価は高い。今年は神奈川県海老名市に行く。製造品出荷額は全国位になった「そういえば、教育とか文化芸術はねぇ」という話も聞かなくなった。

トピックス

アクセス優れた 工業団地

市北部の吉沢・原宿地区の国道50号沿いに、約55ヘクタールの大規模な「おおた渡良瀬産業団地」を造成している=写真。北関東道にも近く、交通アクセスに優れる。団地の一角にガス発電設備やボイラーなどで構成される「エネルギーステーション」を建設し、電気や蒸気、温水を入居企業に供給する計画だ。

1次分譲で情報サービスの両毛システムズ(桐生市広沢町)やソフトウエア開発の日東システム開発(清原町)、麺類製造の赤城食品(台之郷町)など4社の進出が決まった。

無料バスの 新路線

4月9日から、スクールバスの空き時間を活用した無料路線バスを運行する=写真。学生や高齢者など交通弱者の移動手段を確保し、より利便性の高い公共交通網の構築を図る。運行区間は2種類で、「西バス系統」は藪塚駅~ジョイフル本田新田店とジョイフル本田新田店~尾島温泉利根の湯。「東バス系統」はイオンモール太田~休泊行政センターとBUSターミナルおおた~太田東高校南。

現在、中心部と新田、尾島両地区を結ぶ「新田線」と「尾島線」、中心部を巡る「市内循環線」の3路線を一般200円で運行している。

太田市民会館

舞台芸術や文化活動の中心的施設として昨年、飯塚町に移転し新築した太田市民会館。建物は地上4階、延べ床面積8473平方メートルで、メインのホールは1500人収容。音響を重視した優れた設備を導入し、音楽をはじめ演劇、ダンスなど、あらゆるジャンルの公演に対応する。

トピックス

子育て中の 就活応援

子育て中の職探しを応援しようと、育児に理解のある市内の企業を集めた「おおた子育て支援就職面接会」を毎年開催している。

5回目となる2月日は、市内の結婚式場に求職者約160人が集まり、企業の担当者と面接した。採用人数は年々増加しており、昨年は参加者の約4割が採用された。市工業振興課は「子育てに理解のある企業だけが参加しているので、子どものいる求職者とマッチングしやすい」と手応えを感じている。

面接会のほか、会場ではキャリアアップや保育園の入園、扶養制度などの相談会を実施=写真。無料の託児コーナーも「小さな子どもがいても参加しやすい」と好評だ。

放課後の 居場所づくり

放課後や長期休暇に各小学校の空き教室で児童を預かる「こどもプラッツ」は本年度20校で開設し、1159人が利用している。新年度の申し込みは最多の1393人となり、新たに太田南小を加えた21校で開設される。

事業が始まった2014年度は11校132人だったが、共働き世帯の増加で需要が年々高まっている。小学1~6年生が利用でき、平日は放課後から午後5時45分まで。一般的な学童クラブより安い月3千円の料金設定も人気の理由だ。

運営は地域住民が協力して行っている。外部講師を招いた出前授業を開くなど、各校ごとに特色ある企画を提案している=写真