神流町

奥多野の自然豊かな山間を流れる清流沿いに広がる神流町。山林や古民家などを有効な地域資源と位置付け、交流人口の拡大や観光振興につなげようと、古民家の改修や各種観光施設のリニューアルに取り組んできた。ようやく施設整備にめどが立ち、点と点を結んで線を描き、さらには面的な広がりを持たせる時期に差しかかろうとしている。地域資源をフル活用したまちづくりは、新たなステージに入った。

活性化拠点 本格稼働へ

神流町長  田村 利男

町内の地域資源を有効利用しようと、施設改修やリニューアルを進めてきた。古民家を活用した宿泊施設「古民家の宿 川の音(ね)」、恐竜センター、はこだたみキャンプ場に続いて、道の駅万葉(まんば)の里を改修中。今後はこうした施設を拠点に、町活性化や町外から人を呼ぶための具体的な取り組みを本格化させる。

道の駅には神流川沿いにテラスを新設。清流とともに、新緑や紅葉に彩られた山々を眺めたり、川風に吹かれながら軽食を取ることができる。

町内の空き家の有効活用や交流人口拡大に向けて農泊事業を始める。農泊は町内に滞在して、農業体験や交流を楽しんでもらう事業。本年度は関東学園大の学生が空き家の清掃や、宿泊と農業体験をセットにしたモニターツアーなどを実施した。

町のシンボル的な山である「城山(じょうやま)」の自然公園化にも着手。スギを伐採して落葉樹を植え、遊歩道を整備する予定だ。

町民の暮らしやすさの向上も欠かせない。その一環として、高齢者向けの共同住宅を建設する。入居開始は6月ごろの見込み。秋ごろには、ゴルフ場跡地の活用として事業者により建設している最大出力20メガワットの大規模太陽光発電所が完成する。

農泊事業の関東学園大など、町の活性化に向けて、町外のいろいろな方に協力してもらっている。勢多農林高には、「あかじゃが」「あわばた大豆」といった伝統食材の収量を増やす研究、新商品開発などに協力していただいている。こうした関係をこれからも大切にしていきたい。

学生参加 アイデア練る

農泊

農村地域に滞在して伝統的な暮らし体験や交流を楽しむ「農泊」を町全体で進めようと昨年3月、町内の民間団体などと「神流町農泊事業推進協議会」を設立した。7月に開催した研修会には町民ら20人が参加。座学や町内巡りを通して、効果的な体験プログラムを考えた。

宿泊施設は、比較的緩やかな条件で観光客らを住宅に宿泊させられる住宅宿泊事業法(民泊新法)を活用する。事業に協力している関東学園大の学生が、県の補助事業(やま・さと応縁隊)の一環で町が借りた麻生地区の空き家を活用した試験宿泊を実施して課題を洗い出したり、宿泊と農業体験などを組み合わせたモニターツアーづくりを進めている。

近くには「古民家の宿 川の音」があることから、同施設とのコラボレーションも検討している。

プライベート空間 充実

古民家

麻生地区の宿泊施設「古民家の宿 川の音」の離れとなる別館2棟が昨年7月にオープンした。棟ごとにリビングやダイニング、寝室、浴室を備え、本館に比べてプライベートな空間を広げた。2棟合わせて一度に2組、最大12人が泊まれる。町が出資した神流振興合同会社が運営する。

体験メニューとして、町特産のあわばた大豆を使った豆腐作りや神流川での釣り、山々の散策などを用意。交流人口拡大や観光振興に役立てる。

問い合わせは「古民家の宿 川の音」(0274・20・5888)へ。

特産品を製造販売

道の駅 万葉の里

国道462号沿いの道の駅万葉の里の大規模改修を進めている。農産物直売所に加工施設を併設、販売スペースも拡充する。在来種のあわばた大豆を使ったメニューを開発。大豆を無駄なく加工できる機械を導入して、栄養価が高く味も良い豆腐を製造、全国販売も目指す。

ケア充実、交流も

高齢者住宅

独り暮らしの高齢者が安心して生活できるよう特別養護老人ホーム「シェステやまの花」の北側に高齢者住宅を整備。緊急時の夜間対応と、高齢者同士の交流増も図る。居室は1DKで20室程度。6月ごろの入居を目指す。介護事業者の提供するホームヘルパー派遣やデイサービス事業の利用と併せ、入居する高齢者のケアを充実させる。

税収増や雇用期待

ゴルフ場跡地利用

御荷鉾山南面のゴルフ場跡地に町との土地賃貸借契約により事業者が整備している大規模太陽光発電所は、秋ごろに完成見込み。税収増や新規雇用が期待できる。