第４回 ごみ拾いで街を知り、 人と出会う green bird（グリーンバード）

グリーンバードを初めて知ったのは、大学時代でした。音響技術の仕事に就こうと音大に進んだものの、内向きの雰囲気に違和感があり、もっと外の世界を知りたいと思ったのが参加のきっかけです。池袋が拠点のグリーンバードの学生チームのリーダーになり、ごみ拾いのイベントを毎月開催するなど充実した日々を送る中、グリーンバードは私の人生に欠かせない存在になっていきました。保険会社に就職した後も関係は続き、再び池袋チームのリーダーに就任。グリーンバードへの思いを捨てきれず、代表に「事務局で働きたい」とお願いしましたが、最初は「今は大丈夫」と断られました（笑）。でも、対個人で営業経験を積んできた自分にしかできないことがある、と訴えてＯＫをもらい、晴れて会社を辞めてグリーンバードに専念することになりました。

グリーンバードの活動を通して、私は「誰かのために動くのが好きだ」と気付きました。保険会社で外交員をしていた時も、お客さんのためなら全国どこでも駆け付けるというような働き方をしていましたし。

グリーンバードって、実はごみ拾いのボランティアと思って参加する人は意外と少なく、面白い人と出会えて、一緒に何かできることに魅力を感じている人が多い。私は現在、アカウントディレクターとして、企業と協力して行う企画の立案や運営など主に事務局機能を担っていますが、仲間や後輩のためにグリーンバードという場をもっと活動しやすく、長く続く組織にしていくのが目標です。

前橋チームは２０１７年に発足し、ソウワ・ディライト（前橋市）の渡邉辰吾社長が代表を務めています。ある日突然、渡邉社長からチームを作りたいと事務局に連絡いただいて（笑）。その縁で、今は同社のソーシャル事業部をお手伝いさせてもらっています。前橋は若者が都会に流失し、街に戻らないという問題を抱えています。グリーンバードの前橋チームには、若者が街づくりに関心を持ち、継続的に関わるきっかけになってほしい。最近、前橋中央通り商店街に街づくりの活動拠点「comm（コム）」ができたので、私自身も今後、ここを拠点に街に関わっていくつもりです。

住みやすくて、ご飯がおいしい街ですが、それって前橋じゃなくても言えることですよね。１番の特徴は、街が好きな人がたくさんいて、実際に動いていることだと感じています。前橋ビジョン「めぶく。」を核にしたフェスティバルが開かれたり、広瀬川沿いに「太陽の鐘（岡本太郎作）」が設置されたり。昔に比べると、街に関わることがすごく面白くなっています。

でも、分かってくれる人だけ分かっていればいい、というスタンスではもったいない。もっと大きな声で広くＰＲすべきだし、その価値のある街だと思います。

私は東京に出てしまったけれど、もし今前橋で活動している人と学生時代に出会っていたら、群馬に残っていたかもしれない。池袋チームのある後輩は、グリーンバードの活動を「いろんな人の人生の花束を集めているみたい」と例えていました。私自身もグリーンバードを通して、さまざまな生き方のサンプルを知ったからこそ、一つの組織に縛られない生き方を選べたのだと思います。

前橋チームの活動を通じて、若者がさまざまな背景の人と出会い、人生のロールモデルを知る機会を作りたい―。そのために、私ができることに精いっぱい取り組みたいと思います。