第6回 地域の壁を越え、 仲間とつながる

[2019/02/01]
「mixture camp in群馬」主催 群馬大医学部2年 伊藤裕喜さん
大学生活って自由で楽しい―ですが、将来をどう生きるかという漠然とした不安を抱える時期でもあります。同じ思いを持つ仲間と出会い、悩みや夢を共有したい―。そんな思いを抱いた学生たちが、東京と地方という場所の壁を越えてつながろうという試みが、島根発で始まった「mixture camp」です。その群馬版が2月21、22の両日、渋川市内の旧栄分校にて1泊2日の日程で開催されます。中心となって準備を進める群馬大医学部2年の伊藤裕喜さんに、イベントの意義や開催の動機について聞きました。
「mixture camp」とはどのような活動ですか。
伊藤

全国各地の学生がつながる、合宿スタイルの交流イベントです。

僕自身、地方大学に通う身ですが、都内に比べると人と出会う機会や、自己実現につながるイベントの少なさを実感しています。自分の人生について考えるべき学生時代に、やりたいことや夢を本気で語り合える仲間ともっと出会いたい、と強く感じていました。

「mixture camp」は2018年夏、島根の大学生によって初めて開催されました。東京の学生を島根に招き、2泊3日の合宿で互いの本音を語り合ったそうです。その内容を知り合いから聞き、ぜひ群馬でも開催してみたい、自分もやってみたいと強く思いました。

島根と東京の学生が2泊3日をかけて交流した 「mixture camp in島根」
大学時代にたくさんの人に出会うメリットって何ですか。
伊藤

地方で生活していると、人生のロールモデルってどうしても限られてしまいます。僕はみどり市出身で、小学生からずっとアイスホッケーに夢中でした。でも、けがをきっかけに選手ではなく、選手を医療で支える人になろうと決意。群馬大医学部保健学科に進学し、現在は理学療法について学んでいます。

このまま、卒業後は県内のどこかの医療機関に就職して―。そんな風に自分の将来を決めてしまうことに、つまらなさを感じました。医療系に進学したからって、その仕事に就かなきゃいけないわけじゃない。もっと自分の可能性を試そうと、2年生の途中から県内で転職支援事業を手掛ける会社に長期インターンシップしています。

医学系の学部に通いつつ、長期インターンというのはあまり聞かないケースです。
伊藤

やる人がいないなら、自分がまずやってみようと(笑)。正直、大学とインターンとバイトの両立は大変ですけど、できないことはない。学外でたくさんの人と出会うことは刺激になり、自分の人生が広がっていく感覚があります。

そのノリで、「群馬イノベーションアワード(GIA)2018」のビジネスプラン部門にも応募しました。モバイル端末で手軽に気軽に野菜を育て、実際にそれが手元に届く育成ゲームと宅配サービスを掛け合わせたアプリ「たまZON」を考案し、最終プレゼンテーションまで進むことができました。残念ながら受賞できなかったけれど、自分でビジネスモデルを考え、大勢の人の前で発表するという得難い体験ができました。

GIAのファイナリストとして、 プレゼンテーションに臨んだ伊藤さん
群馬版「mixture camp」はどのような内容ですか。
伊藤

島根版は地方創生の意味合いが強かったのですが、群馬版は自己対話を中心にしたプログラムを考えています。1月上旬には前橋市中心街の「comm」でプレイベントを開催しましたが、相手のことを深く知るためのグループワークや、普段語る機会の少ない理想や死について考える時間も用意しました。

本番は渋川市内の旧栄分校で開催し、群馬から8人、東京と島根から8人の計16人が参加してくれます。中には高校生もいます。学年や出身学校といった立場にとらわれない、フラットな関係で交流するので、一人の人間としての自己を見つめ直すことができると期待しています。

プレイベントでは、 自分と他者を知るグループワークを行った
東京と地方の学生がつながることで、何が生まれると期待していますか。
伊藤

僕らは実際のところ、群馬や東京のことをよく知らないんじゃないかと思います。

就職する時も、希望の仕事は東京にしかないというのは思い込みで、実は群馬にもあるけれど、知らないだけなのかも知れません。「mixture camp」をきっかけに、東京や群馬の学生がお互いの良さを知り、地元の魅力に気付いてもらえればうれしいです。もちろん関心がある学生ばかりではないと思うけれど、自分の周りから少しずつ、変化を起こしていきたいと思っています。

「mixture camp in群馬」の開催に向けて、 参加者と打ち合わせする伊藤さん(右)
「mixture camp in群馬」
2月21~22日 渋川市内で開催。
参加者の応募は終了したが、今後の活動についてはフェイスブックで随時発信していく。
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