沼田市

大正ロマン薫るまち。

新型コロナウイルスの感染拡大で求められる「新しい生活様式」に対応した施策に力を入れている沼田市。その一環として、電子地域通貨を導入する。一方、中心市街地では歴史的な建造物を集め、大正ロマンをイメージしたまちづくりを推進。「住み続けたい街」へ確実に歩みを進める。

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市役所が入る複合施設「テラス沼田」の周辺で市が進めてきた歴史的建造物を核としたまちづくりが進展。大正ロマンをイメージした街並みの整備により、にぎわいが復活しつつある。

これまでに、県指定重要文化財の旧沼田貯蓄銀行と国登録有形文化財の旧土岐家住宅洋館、旧日本基督教団沼田教会紀念会堂を移築した。さらに、名誉市民で皇居二重橋の設計などに携わった元衆院議員の久米民之助が暮らした旧邸宅(東京都渋谷区)の一角にあった洋館を移築予定。新年度に設計、移築工事を進め、2022年度末の完了を目指す。

趣のある洋館が並んだエリアは、街並みを散策したり、周辺にある農産物直売所やグルメを楽しめるスポットとして定着してきた。昨年11月には、はかま姿で散策や写真撮影を楽しむイベントを開催、20人を超える女性が参加した。

はかま姿で街歩きなどを楽しむイベントに参加した女性=昨年11月

市観光協会は3月下旬まで、アニメ映画「劇場版はいからさんが通る」とコラボレーションした企画を展開している。歴史的建造物など6カ所に主要キャラクターのパネルを置くほか、声優による音声ガイドも行っている。人気アニメ「鬼滅の刃」に出演した声優も協力しており、大正時代を主な舞台とした人気作品との連携で、アニメ、声優ファンを中心に観光誘客につなげる。

「はいからさん」は大正デモクラシーからシベリア出兵、関東大震災を経て結ばれる男女と、それを取り巻く人々の恋愛模様を描いた作品。今回登場するキャラと設置されている施設は、旧土岐家住宅洋館に花村紅緒、旧沼田貯蓄銀行に伊集院忍、生方記念文庫に北小路環、旧日本基督教団沼田教会紀念会堂に青江冬星、テラス沼田に藤枝蘭丸、沼田公園内の旧生方家住宅に鬼島森吾。施設に入ると、それぞれのキャラが施設や市内を音声ガイドで案内してくれる。

昨年12月に移築が完了した旧日本基督教団沼田教会紀念会堂(写真左と)今後移築する旧久米邸洋館

心の豊かさを大切に

沼田市長 横山公一

中心市街地に歴史的建造物群を移築し、「大正ロマン」薫る街並みの整備を進め、多様な活動に利用できるよう適切な管理に努めています。

また、市の将来を担う若者を支援するため、給付型「ふるさとぬまた未来創造奨学金」を創設し、市内への定住・就労を促進してまいります。

長期化するコロナ禍において、新たな沼田市を創造する「with・コロナ・in・NUMATA・プロジェクト」を始動。電子地域通貨「tengoo(てんぐー)」を導入し、地域経済活性化とまちづくりに活用し、“ものの豊かさ”よりも“こころの豊かさ”を大切にするまちづくりに取り組んでまいります。

電子地域通貨「tengoo」本格運用 キャッシュレスで買い物

電子地域通貨「tengoo(てんぐー)」は、新型コロナウイルスの存在を前提に長期的な施策に取り組む「地域振興プロジェクト」の一つ。市職員による自主研究グループの提案で、なじみ深い天狗(てんぐ)にちなんで命名した。

スマートフォンのアプリや専用カードにチャージし、キャッシュレスで買い物ができる。市の事業やボランティアへの参加にポイントを発行するなどの還元を行い、加盟店の利用増を図る。アプリ版を店舗で利用したときに流れる「てんぐー」の声は、同市出身でプロ野球選手の高橋光成さんが協力している。

昨年12月に実証実験を開始、4月以降も加盟店や利用者を増やし、本格運用を目指している。加盟店はtengooののぼり旗=写真=を立てているほか、加盟店や市の窓口に置いてあるチラシ、ホームページで確認できる。

毎週月曜日(3月15日まで)はテラス沼田で午後5時15分から午後7時までチャージ可能。窓口は総合案内付近(テラス沼田3階)。