沼田市

いよいよ新庁舎も含めた複合施設「テラス沼田」の改修工事が終了し、5月7日にオープンする。庁舎機能の集約にとどまらず、商業施設や市民が集えるイベントスペース、健康づくりのための施設なども備えた、まちに開かれた施設となる。また、「フェンシングのまち」として、来年に迫った東京2020大会のドイツ代表チームの事前合宿受け入れの準備も着々と進んでいる。

テラス沼田、5月オープン。

元号が変わり新時代の幕開けとなる2019年。5月、沼田市の新庁舎や市民活動施設、商業・業務施設が入る「テラス沼田」がオープンする。

コンセプトは、既存の建造物の適正化と有効活用、そしてまちに開かれた建物であること。1階はまちの広場を核に、商業施設や福祉カフェ、防災備品庫など。吹き抜けとなり、2階には沼田市初の歴史資料館を整備。立体駐車場からの移動が容易な中層階の3―5階が市庁舎機能となる。5階の議場は多目的スペースとしても利用できる。6―7階は市民活動施設として、起業・創業者をサポートする創業支援センターや市民活動センター、トレーニングプラザを整備するほか、上階にはハローワークや沼田商工会議所などの諸団体が入居する。3階から7階までは吹き抜けで開放的な造り。また、建物の天井には地場産木材が使用され、ぬくもりあふれる雰囲気が市民を出迎える。

フェンシングのまち。

東京2020オリンピック・パラリンピックで、沼田市はドイツ・フェンシングチームの事前合宿地となる予定だ。練習会場となる市民体育館は改修工事が終わり、4月10日から使用できる。ピスト(試合台)などの機材も購入し、ハード面の設備も整えた。

昨年7月の世界選手権中国大会に際して、ドイツチームの事前合宿が1週間行われた。公開練習や交流会などで、子どもたちも含め市民が世界レベルの選手たちと触れ合った。もともと沼田はフェンシングが盛んで、東京五輪出場を目指す田村紀佳選手は沼田出身。昨年の沼田まつりでフェンシング体験のブースを市が設けたところ、大盛況となった。

8月にはドイツ人のクリスティーネ・バウアーさんがJETプログラムによる国際交流員として採用され、事前合宿に向けての環境整備やドイツ文化の紹介活動をスタート。市内小学校への訪問、ドイツの家庭料理の講習会、ドイツ語の読み聞かせなども行い、2020年に向けて機運を高める。

伝統と新風。

桑細工に取り組む地域おこし協力隊員 高橋 枝里さん(29)

布を使った小物づくりに携わっていた高橋さん。「木を素材にしたものづくりをしたい」という思いから、伝統工芸が盛んな沼田市の協力隊に応募し、昨年9月、埼玉県蕨市から移住した。

当初の1カ月で、うきもく、桑細工、指物、桐下駄という4つの伝統工芸を経験し、桑細工を選んだ。現在は伝統工芸士・一倉忠さんのもとで修行中。一倉さんの店舗からほど近い高橋さんの工房には、旋盤、刃物などの道具が並ぶ。木に当てて削るための刃物を、自分なりに研磨することが重要で難しい作業だ。「刃物の調整と旋盤を使いこなす。まずは基本を習得することが大切です」と一倉さん。

「周りの人たちから、いろいろなサポートをしていただき感謝しています」という高橋さんの目標は、3年の期限のうちに売れる品質の作品を作る実力を身に付けること。「その後は沼田を拠点にものづくりをしていきたい」と意気込む。