
地元溶け込み
共に汗
祭り、仕事
猛暑に笑顔
今年も群馬の暑い夏がやって来た。移住した4家族は地域のイベントに参加したり、農作業に励んだり忙しいが、それぞれ地元の人たちに支えられながら新たな古里で汗を流す。猛暑に負けず、笑顔で新天地の暮らしを楽しむ姿があった。


気持ちに余裕
都内から移住し、藤岡市鬼石でギャラリーカフェを営む渡辺嘉幸(48)と彩英子(39)夫妻。オープンから5カ月、常連客や仲間が増え、生活リズムも安定してきた。7月上旬、美術家の彩英子は作品の制作を本格的に始めた。9月の地域の催しに出品する絵画を描いている。
「気持ちの余裕も出てきた」と嘉幸は喜ぶ。外出する機会も増えた。アジサイが自生するカフェ周辺で写真を撮って楽しんだり、地域の祭りなどに参加し、住民たちと触れ合う。地元に溶け込み、癒やしの生活を満喫している。
新店舗が軌道
強い日差しが照りつける伊勢崎。日系ブラジル人2世のキシモト・ケイフク(52)、トシコ(63)夫妻が営む弁当とハンバーガー店「KMT」(日乃出町)を訪ねると、外の暑さに負けない明るい笑顔が店内に広がっていた。
輪の中心にいるのは5月に誕生したリミ。夫妻の次女、タカノ・アキナ(28)と夫のロビソン(31)の間に生まれた初めての子で、夫妻にとって6人目の孫だ。「かわいくてしょうがない」。誰もが目を細め口をそろえる。2月開店のハンバーガー店も軌道に乗り、弁当店とともに忙しい毎日だ。


住民と水田作業
みなかみの夏は、深緑の中に野鳥や虫などさまざまな生き物の声が響く。名古屋市出身の北山郁人(44)=藤原=が今年から他の移住者と協力して始めた水田では、長男の桂月(12)と長女の瑠那(10)も靴を脱いでお手伝い。郁人は「手伝いや体験するだけでは分からなかった大変さがある」とやりがいを感じる。
美しい自然を誇る山々にはハイカーが集まり、夏休みが始まれば学生や家族連れも温泉やアクティビティ目当てに続々と訪れる。民泊客に加えて中学生の林間学校も始まり、慌ただしい毎日が続く。
一家で麦刈り
日差しは強いが、吹き抜ける風は心地よい。渋川市赤城町、赤城山西麓の畑で6月末、横浜市出身の堀井一平(39)が、家族とともに麦刈りに汗を流していた。6月下旬から7月上旬はレタスの収穫期。朝のうちに収穫して袋詰めし、前橋や高崎の青果店などに運び込む日々が続いた。
年間、数十種類の野菜を生産。農作業は主に妻の裕紀(36)と2人でこなす。長女の麦音(2)から目が離せないが、横浜から移り住んだ両親が面倒をみてくれることに感謝しつつ、今月下旬に本格化する夏野菜の収穫・出荷に備える。
(敬称略)